前立腺肥大症の不愉快な排尿症状で悩んでいませんか
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前立腺肥大症による不愉快な排尿症状

 中高年の男性を悩ませる、「おしっこ」のトラブルの大半は前立腺肥大症によるものです。排尿機能障害が重症で多量の残尿が残る様になると腎不全となり生命を脅かすことになります。しかしこれは稀で、ほとんどが毎日付き合う排尿を不愉快なものにして生活の質を損なうという病気です。

薬物療法 

 治療は薬物療法と手術療法です。それまでは植物製剤や漢方薬が使われていましたが、明らかに効果が優れ日本で発明されたハルナール(α1遮断薬)という薬が1993年7月に日本で発売されました。ジェネリック医薬品がありタムスロシンという製品名で処方されている場合が多いと思います。その後も同じ仲間の薬が2種類発売されました。その他に前立腺を小さくすることで効果を発揮する薬アボルブ(5α還元酵素阻害薬)、前立腺と膀胱頚部の平滑筋やさらに周囲の血管の平滑筋の緊張を抑制することで効果を発揮する薬ザルティア(PDE5阻害薬)が使用出来るようになり、手術が必要な患者さんの割合が大きく減りましたが、やはり手術が必要な患者さんだおられます。

手術治療

 ずいぶん以前には開腹手術が行われた時期もありましたが、皮膚を切開しない内視鏡手術が早くから泌尿器科領域で行われるようになり、その代表的な手術が経尿道的前立腺切除術(TUR-P)で現在も広く行われています。その後、侵襲の低い手術として様々な術式が考案されましたが、ほとんどが余り行われることが無くなり、現在ではホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)とレーザー前立腺肥蒸散術(PVP)の3つの術式が選ばれています。2022年に経尿道的水蒸気治療(WAVE)と経尿道的前立腺 吊り上げ術(PUL)が保険適応となりました。この2つの術式に対しては2022年に日本泌尿器科学会が適正使用指針を発表し、適応とされるのは「全身状態 や手術侵襲を考慮して、従来の手術療法(TURP、HoLEP、PVP など)が以 下のように困難な症例として、Ÿ 全身状態不良のため合併症リスクが高い症例 Ÿ 高齢もしくは認知機能障害のため術後せん妄、身体機能低下のリスクが 高い症例など」を示しています。

現在の標準的な術式はTURP、HoLEP、PVPとお考えください。

 

この後に前立腺肥大症と排尿について解説していきます。

尿の仕組み

尿を作る腎臓はおへその位置よりやや上で左右1個ずつ背筋の前あります。

体で作られた老廃物と余分の水分を尿として体外に排泄します。

 

膀胱は、おへそより15-20cm下で体の正中にある恥骨という骨の後ろ側に位置しています。尿を一時的にためて、都合の良いときに排尿し排尿後は尿は空っぽになります。

 

精液を作ったりする前立腺です。図からもわかるように、前立腺の中を尿道が通っているため、前立腺が肥大すると尿道を圧迫したりして、不愉快な排尿症状を起こし、また実際に尿をうまく出せなくなり残尿を残す様になったり、また全く出せない状態になることもあります。

尿路イラスト2

自覚症状から重症度をセルフチェックしましょう

IPSS(国際前立腺症状スコア)を使って手軽にセルフチェック

国際前立腺症状スコアを利用して、排尿に関する自覚症状の強さをセルフチェックして下さい。7項目の合計点が0~7点は軽症、8~19点は中等症、20~35点は重症と判定されます。QOLスコアも重要です。日常生活にどの程度悪い影響が出ているかを評価して下さい。不愉快な排尿症状は日常生活を煩わしいものに変えます。

 

IPSS(国際前立腺症状スコア)の日本語訳は1997年に出版された排尿障害臨床試験ガイドラインに掲載され、わが国で用いられ始めました。ここに示している日本語訳はQOLスコアも含め2002年の日本泌尿器科学会会誌9巻6号に掲載された本間之夫先生の提唱された日本語訳を使用しています。

 

 不愉快な自覚症状の割合

前立腺肥大症診療ガイドライン(日本泌尿器科学会/編2011年)によれば、わが国で行われた研究では60~69歳でIPSSが中等症以上であった割合は52%、70~79歳では63%と不愉快な自覚症状を感じておられる割合はかなり多いことが示されています。また、尿の勢いが最大で10ml/秒に満たない勢いのかなり悪い人の割合は、60~69歳で19%、70~79歳で42%と示されています。

 

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前立腺肥大症の検査

 診断のための検査は先ずエコー検査です。

検尿のために排尿して頂き、その後にエコー検査を行い排尿しても出せずに残った残尿と前立腺の大きさをチェックします。

 

経腹エコー検査

エコー検査は妊婦さんの検診でも使われる、安全で痛みがなく、レントゲンを使わないので繰り返し行える検査です。装置の進歩により画像の解像度は開発初期に比べ格段に進歩していますが、腹部から観察する前立腺は骨盤の底部にありますのでエコープローベからの距離が遠く、高度の肥満がある場合には鮮明な画像が得られないことがあります。

 

超音波エコー検査の実際

イラストのワン君のように、患者さんにはベッドに仰向きで寝て頂き下腹部を出して頂きます。検査に使用する領域は、おへその下から恥骨上部までの範囲です。超音波を発出し、受信するプローベを当てて観察します。身体の長軸と直角方向の横断像(水平断)、身体の正中の縦切り像(矢状断)から、縦・横・高さの長さを測定し容量を測定します。イラストの医師はワン君の下腹部を矢状断方向で観察しています。

エコー検査2

超音波エコー検査で見えるものは

検尿のため尿を採取した後に超音波検査を行います。超音波検査では先ず緑の矢印で囲った膀胱の中に残った超音波画像上黒く見える尿の量を測定します。これを残尿と言います。正常であれば膀胱に溜まった尿は1回の排尿で全部排出されますが、肥大した前立腺により出し切れずに残ってしまった尿です。残尿が多量になると腎臓で産生された尿が膀胱に流れ込めなくなり、腎臓に尿が滞り腫れて水腎症となり腎臓の働きが悪くなってしまします。次いで黄色の矢印で囲った前立腺の大きさを測定します。日本人の平均の大きさは20mlと言われています。30mlを超えるような大きな前立腺肥大症では前立腺を小さくして排尿障害を改善する薬のアボルブが適応となります。

膀胱と前立腺

薬物療法にて経過良好です。

緑色の矢印で囲った部分が残尿です。6.81mlでした。前立腺は黄色の矢印で囲った部分です。前立腺の大きさは25.89mlで軽度腫大した前立腺肥大症です。ハルナール1錠/日の服用で残尿も少なく経過良好です。

ハルナール

2種類の薬剤服用にて経過良好です。

前立腺容量は約22mlと軽度腫大するのみの前立腺肥大症です。ザルティア5mgとフリバスOD錠75mgの服用で症状は安定しました。

2種の薬剤

過活動膀胱を合併されています。

少ししか尿が溜まっていないのに強い尿意が現れ、尿をこらえるのが困難で時には漏れてしまうと言う症状が過活動膀胱です。前立腺肥大症による排尿障害改善薬で過活動膀胱症状が改善することが多いのですが、改善しない場合には過活動膀胱に対する薬が必要になります。残尿が増えてしまうことがあり注意深い観察が必要です。前立腺容量約34mlで中等度の大きさの前立腺肥大症です。フリバスOD錠50mg、ベシケアOD錠5mgの服薬で、残尿は約8mlと少量で経過は良好です。

過活動膀胱

薬物療法にて経過良好です。

前立腺の大きさは容量87mlと標準の4倍くらいに肥大している前立腺肥大症です。α1ブロッカーのユリーフと植物製剤のエビプロスタットを朝夕服用することで残尿は20mlと少量で、自覚症状も安定しています。

薬物療法で

前立腺肥大症はありますが排尿障害は無く治療は必要ありません。

前立腺は47mlと標準の2倍以上に腫大していますが、排尿に関する不愉快な自覚症状は無く、残尿も27mlと多量ではないため治療は必要ないと考えています。

治療不要

次に行う検査は尿流量測定検査です。

前立腺肥大症による排尿障害は徐々に進んできます。おしっこの勢いも少しずつ悪くなってくるので、その変化に気付かないことも多いと思います。公衆トイレで並んで排尿した時に隣がどんどん変わるのに、自分の排尿がなかなか終わらないことで驚くこともあると思います。客観的に尿の勢いを調べる検査が尿流量測定です。排尿量が少なすぎると判定が難しくなります。逆に500ml以上などと多量に尿を貯めてしまうと膀胱が過伸展されて排尿の際に収縮できなくなることがあり実生活での評価が出来なくなります。そのためコップ1杯200ml程度尿を貯めてきていただいて検査をします。

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尿流量測定装置 フローマスター(エダップテクノメド社)

普段から経験するように、尿量と尿の勢いには関連があります。右のグラフに示しているように排尿量が増えると、尿の勢いも強くなります。

洋式便器の、向かって左横に置いているのが尿流量測定量測定装置フローマスター(エダップテクノメド社)です。白い洗面器のような容器に向かって排尿します。

底部に圧力トランスデューサーが設置されており、その上に置かれたビーカーに尿は集められます。この尿流量測定用トランスデューサーに対する経時的な排尿量の重量変化が電気信号に変換されて、Bluetooth接続されたパソコンに送られます。

尿流量率は時間あたりに排出される量として定義され、ml/s(ミリリットル/秒)で表されます。排尿量を排尿時間で割り算した平均尿流率、最大値を表す最大尿流率、排尿量、排尿時間などと経時的に尿流量率を表すグラフが表示されます。排尿量が200ml以上では最大尿流率が15ml/s以上なら正常とされます。

尿流量測定LP

62歳の男性です。前立腺容量は25mlです。

62歳の男性です。前立腺容量は25mlです。日本人の標準の前立腺容量は20ml程度とされていますので、前立腺のサイズからは軽度の前立腺肥大症です。

排尿量は256.7ml、残尿は5mlでした。19.3秒で排尿は終わっています。

左のグラフからも見て取れるように、排尿開始と同時に勢いよく尿が排出され、最大尿流率は28.0ml/秒でした。平均尿流率は13.0ml/秒でした。右の縦に並んだ2つのグラフに標準と比べた今回の成績が赤丸で表示されています。最大尿流率は標準より少し良い、平均尿流率は標準の下限近くであると評価できます。ほとんど正常と評価できます。

62歳

70歳の男性です。前立腺容量は30mlです。

70歳、男性です。前立腺容量は30mlで中くらいの大きさの前立腺肥大症の患者さんです。

左のグラフにはテント状に盛り上がった低い波が沢山見えます。膀胱の収縮だけでは尿がうまく出ないのでお腹に力を入れ息んで排尿しています。腹圧排尿と言います。

排尿量は96.1ml、最大尿流率が3.5ml/秒、平均尿流率1.0ml/秒で、排尿時間は119.3秒、2分かかりました。今回の成績の赤丸は両方ともに標準よりかなり悪い成績です。

残尿は24mlと少量で、心疾患などの合併症をもたれている患者さんであるため、薬物療法で経過を見ています。

70歳30ml

70歳の男性です。前立腺容量は88mlです。

70歳の男性です。前立腺容量は88mlと大きな前立腺です。

排尿量は151.0mlです。排尿には32.5秒かかりました。

出始めから尿の勢いは弱く、だらだら出ています。残尿は42mlでした。

最大尿流率は8.7ml/秒、平均尿流率は4.7ml/秒でした。

今回の成績の赤丸は両方ともに標準よりは悪い結果になっています。

排尿にかかる時間は、さほど長くはなく残尿も多くはなく、ご本人の自覚症状からは大きな不自由は感じておられないため、薬物療法を続けています。

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